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自然葬はなぜ人気?近年注目され始めた理由。|樹木葬辞典

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自然葬はなぜ人気?近年注目され始めた理由。

自然葬 (しぜんそう)とは、人工物を用いない葬送と考えられています。従来のお墓のように、墓碑に石を使ったり、遺骨を収納するカロートを使用しないとされることが一般的で、散骨や樹木葬などが自然葬のひとつとして考えられています。近年この自然葬の人気が高まっているのですが、これは葬送方法が大変多様化してきており「自由な眠り方」の考えが広まってきていることから、注目を集めているといえるでしょう。


自然葬とは、人工物を用いない葬送のこと

自然葬と言う言葉は新しい言葉ですが、「自然葬」という葬送方式は太古の昔から行われていました。日本には昔から「生死一如」の死生観、つまり生と死は分けられないと言う思想があり、自然の中で生きていた人間が、死んでも自然の中に居たいと思う気持ちを大事にし、死すると遺体や遺骨、遺灰を川や海に戻していました。つまり自然葬とは、海や山などに遺体や遺灰を撒く、あるいは埋めることで、最後は自然に還りたいという故人の思いを尊重した葬送方法であるといわれています。従来のお墓の、墓碑として墓石を建てたり、遺骨を納骨するカロートを用いる埋葬法とは違い、人工物を用いないものを指します。一般的には散骨が自然葬と思われていますが、広い意味で考えると火葬、土葬、樹木葬なども自然葬の一つとして考えられています。

【関連記事】散骨とは?散骨をおこなう場合の配慮と注意点

この自然葬は、海外に目をやれば、ヒンドゥ教は死者を火葬にし遺灰を河や海に流します。チベットでは鳥葬や水葬が行われていました。しかし文化の発展、集団生活が始まり、身分制度が生れてくると権力者は権力誇示の為に「大きな墓」を作り始めます。そして一般庶民も墓を作り遺体を埋葬するようになりました。共産主義国家で行われていた指導者の遺体を冷凍保存する特別な葬送方法以外、一般的に行われている葬送方式は全て「自然葬」と言えば、そう言えるかもしれません。しかし、今現在、一般的には自然葬を「墓石を作らず、自然に還す葬送方式」と定義されていることが多いかと思います。

 

樹木葬は自然葬ではない?

樹木葬は自然葬の一種と考えられることがあると前項で述べましたが、一方で自然葬ではないとする考え方もあります。自然葬ではないという考え方では、亡くなった人を偲ぶ、あるいは拝むための対象(墓標)があるかないかという点と、法律上の許可を得た場所に埋葬するか否かという点において議論されるようです。

樹木葬では、個別の墓標としての樹木や合葬の際のシンボルツリーがあるので、それに向かって手を合わすことができます。また、亡くなった人の遺骨が埋められる場所はどこでもよいわけではなく、「墓地、埋葬等に関する法律」によって墓地(霊園)として定められた区画になります。以上の2点をふまえると、散骨や風葬などのように遺骨を言葉通り自然に還す方法とは異なるため、自然葬とは言えないのではないかという説もあるようです。

自然葬が注目された社会的背景

伝統的な葬送方式では、亡くなった人を火葬し遺骨を骨壺に収納して、墓石のある墓地に埋葬し、そして代々にわたって墓を守り引き継ぐことが一般的でした。しかし、戦後高度経済成長が始まってからはその社会の急激な変化とあいまって、葬送への意識がすこしずつ変化していきました。農村部では都市部へ移住が増え、主に家を継がない次男や三男が出稼ぎにいくようになると、一度上京した彼らは葬儀やお墓参りのたびに遠い実家まで帰ることを負担に感じました。また、寺院に支払わなければならない葬儀代や墓地代などの支払いも経済的負担となったことや、1990年代から個人主義が広まり人々の家への執着心が薄れたことから、家を継ぐという意識や墓を守るという意識も薄れていったようです。

このような家制度の崩壊、核家族化、都市への人口集中、少子化、晩婚化、結婚しない人の増加、伝統的な葬儀にお金がかかり過ぎる、葬式のビジネス化、などなど多種多様な要因から、「墓石のあるお墓」から、樹木葬、永代供養募、散骨などの費用が抑えられ管理の負担が重くない葬送方式を選ぶ人が増えたのです。そうした中「NPO法人 葬送の自由をすすめる会」によって葬送の自由が提唱され、自然葬という言葉が一般に使われはじめ、注目されるようになりはじめました。

参考文献:NPO法人 葬送の自由をすすめる会

参考文献:申蓮花(2006)『日本の家父長的家制度について-農村における「家」の諸関係を中心に-』高崎経済大学地域政策研究 第8巻第4号

自然葬は環境を保全するのか?

国の推計では、全国で1年間に亡くなる人は2015年が約131万人で、40年には約167万人になりピークを迎えるといわれており、今後長らく多死時代が続くと予想されています。つまり、各地でお墓の需要が高まっているのだが、それに伴い「お墓不足」も議論され始めており、特に人口が集中している都市部では既に墓地を新たに作る面積がなく、墓地不足深刻化しています。そんななか、従来の石を建てて野や山を開拓しなければならない墓地にすると、今度は土地だけでなく森林や自然が失われてしまいます。お隣の国、韓国では広い墓地を作ることがステータスとなっていたため、今では国土の1%程度が墓地になり環境が悪化していると言う報告もあるほどです。

そこで、墓石を必要とせず、比較的墓地の面積も必要ない樹木葬や散骨いう自然葬の一つである葬送方式の人気が高まってきているのです。樹木葬であれば、野や山をそのまま利用して遺骨を土に埋葬するといったことも可能ですし、お墓にすることによって荒れた里山を再生することも期待されます。遺骨は完全に土に戻ることはありませんが、それでも大きな墓石を不要に残してしまうよりは自然に優しいと考えられます。また、散骨は日本では津城、海に遺灰を撒くので、ほとんど環境に負荷をかけないといってよいでしょう。ただ、海に散骨してしまえば本当に故人の遺骨の前でお参りをすることはできなくなるため、散骨に関しては慎重になる人もも多く、遺骨すべてではなく一部の散骨に留めるケースが大半のようです。

 

おわりに:慣習にとらわれず自分にあった眠り方を選んでも良い

「自然葬」という言葉自体は近年になって作られたものですが、このように「自然葬」という新たな言葉によって葬送法を定義しなおされたことにより、葬送方法に選択肢があるということが広く知られるようになったのではないでしょうか。それまではほとんどの人が、死後はは火葬された後に先祖代々の家のお墓に入るのだ、と考えていましたが、そうとも限らない、とか、必ずそうしなくても良いのだ、という考え方が広まり、色々な葬送を選びやすくなっています。そのなかでも自然葬の良いところは、対象が個人であり「家」ではないため、家族を持たない人や、子供のいない人には人気があるようです。価値観が多様化している日本、伝統的な「墓石の墓」も良いけれど、樹木葬で自然と一体化するのも、もしくはただただ大きく雄大な海で永遠の眠りにつく散骨も、選択肢として良いのかもしれません。

関連記事:自然葬とは?定義や言葉の意味、自然葬の種類について

 

当サイトではおすすめの樹木葬ランキングや自然葬や永代供養墓についても解説しています。是非ご参照ください。>>樹木葬辞典|樹木葬・自然葬・永代供養墓を解説


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