宗旨宗派不問の意味とは?
霊園探しをしていると、「宗旨・宗派不問」という看板やチラシの文句に目が留まることがありませんか。この「宗旨・宗派不問」という言葉は、どのような意味なのでしょうか。意味を正確に取らなければ、トラブルになってしまう場合があります。詳しく解説しましょう。

「宗旨・宗派不問」イコールどんな宗教でも受け入れる?
まず、使われている言葉の意味を確認します。「宗旨」も「宗派」も、1つの宗教のうちでわかれている分派や考え方のことです。お寺の霊園のチラシにこの言葉が使われているなら、「1つの宗教」とは仏教のことです。在来仏教徒であれば、どの宗派を信仰しているかは問わないという意味であり、神道、キリスト教、イスラム教、新興宗教といった信仰のある人は受け付けないということになります。「宗教自由」という意味ではないため、まずはここに気をつけましょう。
「これまでの宗派は問わない」という意味の場合

もう一つ気をつけたいのが、今までも、これからも宗派は問わないのか、ということです。「これまでの宗派は問わない」という意味で「宗旨・宗派不問」を使っている寺院があります。つまり、寺院の墓地を契約した後は檀家になってもらう、もしくは宗派にのっとった供養をしてもらうという意味です。例えば宗派の作法にならってお墓を作る必要があったり、葬儀や法要には住職を呼んでお経をあげてもらう必要があったりします。この場合、他の宗派の僧侶に葬儀を依頼し、納骨だけお墓のある寺院にお任せするということはできません。無宗教での葬儀をしたり、戒名をもらうことを拒んだりした場合も、トラブルになってしまうでしょう。お墓だけではなく、葬儀や法要、その他供養のことまで、お墓のある寺院にお任せしたいという気持ちでいるでしょうか。お墓の立地や値段だけを見て、「契約しよう」と考えているなら、自分の死後のことまで思い浮かべてみてください。家族が供養をしやすいかどうかも大切なのです。
「今までもこれからも宗派は問わない」という意味の場合
一方で、「今までも、これからも宗派は問わない」という意味の場合もあります。このケースでは、寺院とはお墓を契約しているだけの関係となり、檀家にならなくとも構いません。葬儀や法要が生じた場合、その寺院の僧侶を依頼するのか、それとも全く違う宗派の僧侶に頼むのかは、喪主に任されます。ただ、霊園内に法要会館などがあり、葬儀や法事を行うときにそこを使うのが便利であれば、葬儀や法要はそのお寺の僧侶にお願いしたほうがスムーズに行えるかもしれません。檀家にならなくてもよかったり、葬儀をその寺院に頼まなくてもよかったりするのは、ずいぶん心が軽くなることです。しかし、後の供養のことまで考えてみると、結局はお墓がある寺院に法要などをお任せしてしまった方が楽なことも多いでしょう。契約時には、その寺院にお任せできること、できないことを確認することが必要です。
本当はどんな意味?個別に問い合わせが必要
これまで説明してきたように、「宗旨・宗派不問」には二通りの意味があります。果たして、「これまでの宗派は問わない」のか、「未来においてもずっと宗派は問わない」のかは、看板やチラシからは分かりづらいケースがほとんどです。本当はどのような意味なのかは、個別に問い合わせてみましょう。
宗教フリーの霊園がいいなら「宗教自由」を探して
いずれにせよ、「宗旨・宗教不問」の寺院墓地は、仏教徒しか受け付けていません。他の宗教を信仰していたり、あくまで無宗教を貫きたいという考えがあったりしたら、「宗教自由」としている霊園を探しましょう。民営の霊園でも見つかりますが、公営霊園は、例外なくすべてが宗教フリーです。無宗教に限らず、全ての宗教宗派に対して開かれています。都内など一部の公営霊園は応募者が殺到することもありますから、早めの情報収集が不可欠です。
まとめ
以上、「宗旨・宗派不問」の意味について解説しました。「宗教自由」という意味ではなく、仏教に限ること、これからも宗派不問か否かは寺院の考え方によることに注意しましょう。なお、お墓は一人だけの買い物ではありません。お墓に入る人も主役なら、それを供養していく人も主役です。どのようなお墓を希望するのかを家族と相談し、みんなが納得のゆく供養のしかたを模索することが重要になってきます。パンフレットを取り寄せたら、ぜひ家族会議を開きましょう。子世代と一緒にお墓見学へ出かけるのもおすすめです。
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